#24

石岡瑛子展 血が、汗が、涙がデザインできるか」を観に行った。

 

美術館に行くのは気力も体力も使うので一日仕事。そして、実のところ人と一緒に行った展覧会はあまり印象に残っていない事が多いため、一人で行きたいタイプ。従ってバイブスが上がった時と休みがかち合わないと行けない。本当はもっと行きたいんだけどこれ以上行く頻度を増やすと義務感ぽくなってしまって良くないし。今回は「めっちゃ良かったですよ」と人に勧められて行った。

 

結果、めっちゃ良かった。展覧会のネタバレって配慮した方がいいの? わからないから普通に書いてしまうけれど、彼女のパーソナリティを全面に押し出さない大規模な回顧展だったからこそ最後の展示物に意表を突かれた。私にとっては予期しない展示物と解説文でその場で思わず「やってくれたなぁ!」って言いそうになった。言わなかった代わりにじんわり涙が滲んだけど(涙がデザインされた……)。

 

あとは彼女のキャリアが文字通り立体的になるのがよく分かるというか……空間の使い方なのかな。特に『ニーベルングの指環』の衣装展示の空間は、行ったことある人はお馴染み(?)のあの吹き抜けが使われていて、天井が見えないほど高いのも手伝って、上演前の舞台のような緊張感と静謐さに溢れていた。役者に着られた衣装もこうして待っていたのかなと思わせる展示空間だった。

 

自分と照らして色々思うこともあったけど書かない、が、確実にエンパワメントされる人がいるだろう、それくらいパワーのある展示だった。パワー有り余って散歩して帰った。都度思う、美術館/劇場の類はそこで行われる事の内容が高尚だろうと野鄙だろうと余韻に浸る時空間のバッファは必要。ありがとう木場公園

 

しかしこの時期の都現美の展示はやたら覚えている傾向がある。吉岡徳仁とか……てか吉岡徳仁の大規模個展から7年経ってるのが俄かに信じがたい、怖……。アーカイブ見てみたけど、工事による休館期間もあったのすっかり忘れてた。どうやら2013辺りから限りなく皆勤賞に近いっぽい。

 

いい一日だったので、なんだか日々に帰るのが勿体無くて、ぼんやりAdrianne Lenker のアルバムを聴いている。

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