#17

11/29 のこと.ゼミを終え,ご飯を食べに街へ繰り出した. 空は灰で低く垂れ込めていて,一仕事終えた感覚も相まってまるで年の瀬だった. 小料理屋の暗がりで,これまでのように時間が流れるように過ぎ去り, いつも以上に師走があってないような気持ちになるんだろうなと,天丼をつついた.

遠足がてら浅草に向かった.曇天に雷門の朱がよく映えていた. さすがは人気の観光地でこの時勢下でも雑踏に塗れていたが,いつもはもっと多いのだろうか. そして,絢爛な堂に祈る無病息災が切実であることに気づく.

浅草で別れた後,黄昏も過ぎつつあったが寿周辺で小ぶりなインテリアを眺めることにした. 寿周辺はビルディングタイプが独特なので見ていて楽しい. 最近は小洒落た店も増えつつあって,往路はここを勧めれば良かったと後悔する.

神田の方や蔵前の方は徐々に単身者向けマンションが増えつつあるが,上野以東のこのエリアは 絶妙に不便なことも相まってか(実際銀座線一本はあまり便利とは言えない)まだ倉庫や中小のオフィスビルが多い. 従って休日は,先述の小洒落た店を除いては人っ子一人いない.ましてやいつもより若干人出も少ないのだから, 車も一切こない,踊れそうなほど広い道路に灯る街灯がますますポツネンとして見える. がらん,としていて,年の瀬の地元を思い出す.今年は帰れるだろうか.

結局食器屋では小鉢とプレゼント用にビールグラスを買った. 紙袋を抱えてバスで帰路についた時,体がシートに沈み込んだ. 思いの外疲れていたみたい,この復路の倦怠感も年の瀬,なんだよなあと眠った.

まあ後1ヶ月あるんだけども.