#2
約2ヶ月ぶりの銀座へは，赤のライン…ではなく赤い自転車で向かった．前行った時はトレンチコートを着ていたと記憶している．着いた頃には汗だくだったし，腹筋の中の方が痛かった．しまなみ海道をママチャリで走破した身体とは思えない．席を一つ飛ばしてべっぴんさんマダムが「1週間運動しないだけで身体は7歳衰える」と言っていた．その論理で行くとおそらく私は200歳は悠に超えている，もはや死体，ゾンビなのだろう．人っ子一人いないホコ天でもない中央通り，バイオハザードRE:3 の方がまだ密度は高かった．ゾンビだけど．皇居周辺の街路は生きた健康的な人々で溢れており，もとよりsocial distance の間隔で植樹されている皇居外苑のクロマツの下で，人は人と愛を育むのではなく，黙々と己が筋肉を愛でていた．卒制の時，あのクロマツの間隔はギリギリ人が一人になれる間隔なのだと，プレゼンしたのを思い出した．
帰る頃にはすっかりマジックアワーになっていて，堀の水面は相変わらず美しかった．朝5時の東京が，丸一日続いているようだ．銀座，東京駅，竹橋，神保町，水道橋，どれも誰かとの思い出のある歩き慣れた道で，閑散とはしているが退屈しないのが東京の良いところだ．『VA-11 HALL-A』のサントラを聴いて帰った，Every Day Is Night は間違っちゃいないけれど，こんな明るくはない．
