#9

「ルーティン」という言葉が基本的に無縁で嫌いであった.

「ルーティンをこなせる人が社会的に成功する」という価値基準と「ルーティンである」という自覚を持って語られる時点で,私には気に食わない概念なのだ.やっている本人が「あれ?俺なんかやっちゃいました?」くらい,うちのボスの言葉を借りると「身体化」するまでやり込んで初めて日常になるんだろうが,とキレ散らかしていた.

が,一人暮らしを始めてから8年,とんと無縁だった自炊がルーティンの仲間入りを果たした.多少環境が変わっても順応可能だと自信が持てるレベルまで,間違いなく2年弱はかかった.要は,環境依存しすぎないレジリエンスのあるシステムを如何に構築し日々運用できるか,という話なんだな.あとは行動選択による効用最大化を目指すよりRegret 最小化を目指した方が良い.双対問題のようだ.

ルーティンを強要されることと,先述の社会基準に対する幻想にキレ散らかしているだけのパラノイアだったんだな.丘を登ったからではない,崩れ去った瓦礫(デブリ)の上に立っているから良く見渡せるようになった.